
「iDeCo」のメリットとデメリットを徹底解説
本日はiDeCoについて解説します!
iDeCoについて…しっかり理解していますか?「言葉は聞いたことあるけどちょっとわからない…」そんな人も多いと思います。
僕はiDeCoはやったほうが良いと思っている派ですし、貯金強者ほど向いている制度かなと思います!
僕も実践している「iDeCo」のメリット・デメリットを徹底解説していくので、参考にしてください。
自己紹介


iDeCoの仕組み解説
iDeCoとは?
iDeCoとは、「個人型確定拠出年金」のこと
企業型もあるが、今回は多くの人に関係ある個人型確定拠出年金を説明
まず日本には「国民年金」「厚生年金」といった公的年金制度があります。
公的年金制度
- 国民年金
- 全員が定額を支払っている
- 日本に住んでいる20歳〜60歳未満の全ての人が加入する
- 厚生年金
- 収入に対して定率で支払う
- 収入に応じて支払う金額が変わる
- サラリーマン・公務員が加入
- 国民年金
- 自営業者・扶養者
- 国民年金+厚生年金
- サラリーマン・公務員
このように加入しています。
iDeCoはこれらの年金に、さらに追加していく年金システム
「国民年金・厚生年金」は強制加入ですが、iDeCoはしてもしなくても任意で選ぶことができます。
加入の申込、掛金の拠出、掛金の運用の全てを自身で行い、将来給付を受け取ることができます。
しかしiDeCoはいくらでもかけて、何歳からでも出来て、いつでも受け取れるといった自由な投資ではありません。
iDeCoの条件を確認していきましょう。
iDeCo対象者
- 国民年金に加入している自営業者・フリーランス・フリーターなどの20歳〜60歳未満
- 厚生年金に加入している会社員・公務員など60歳未満
- 専業主婦(夫)20歳以上〜60歳未満
掛け金は月5,000円以上から掛けれて、1,000円単位で増減できるので、毎月一定額でも良いですし、ボーナス月に多めにするなど変更も可能です。
iDeCoの拠出額
会社員 (専業主婦含む) | 毎月最大23,000円 (年間最大276,000円) |
公務員 | 毎月最大12,000円 (年間最大144,000円) |
個人事業主 | 毎月最大6,8000円 (年間最大816,000円) |



iDeCoは「国民年金」「厚生年金」を更に強化して、老後資金に備えるイメージ
iDeCoの運用方法


「株式」や「定期預金」で運用
「株式」や「定期預金」などの運用する金融商品は、銀行や証券会社で取り扱っていますが、どこを選んでも良いわけではありません。
銀行や証券会社によって、取り扱っている金融商品銘柄や手数料が違うので、よく吟味して選んでください。



iDeCoは「株式」や「定期預金」を運用
運用する金融商品・金融機関の選定は慎重に
iDeCoの受け取り方


60歳までは引き出せず、60歳以降に積み立てた分を引き出せる
iDeCoはいつでも自由に引き出せるものではありません。
一度始めると60歳までは引き出すことができず、60歳以降になってから受け取れるようになります。
iDeCoの受け取り方
- 【年金】のように毎月受け取る方法
- 【退職金】のように一括で受け取る方法
- 【組み合わせ】①と②を組み合わせて受け取る



iDeCoは積み立てた資産を60歳以降に受け取れるようになる
iDeCoの節税内容


iDeCoは強力な節税効果がある
iDeCoの節税効果
- 掛け金が全額所得控除
- 運用益が非課税
- 利益が出ても税金が取られない
- 受取時に控除
- 「公的年金控除」または「退職所得控除」
資産運用の「入り口」「運用中」「受取時」に非課税や控除が受けられます。
一方で口座の維持手数料や運用商品の維持費などが発生するので、金融商品銘柄や金融機関を慎重に選びましょう。



iDeCoは強力な節税効果がある
iDeCoのメリット
自分だけの退職金・年金になる


iDeCoは自分で作る・自分の為の年金制度
みなさんが働いている会社でも退職金が用意されている場合がありますが、
- どのように運用するか
- 退職金はいくらか
- 自分が退職するタイミングでも本当にもらえるのか
会社が用意している退職金は、このような具体的な内容を全て会社に依存しています。
iDeCoで自分で運用することで転職や退職をしても影響を受けず、継続的に積み立てることができ、60歳で退職金・年金として貰うことができます。
iDeCoの運用では会社の勤務年数は関係なく、iDeCoの運用年数が大事。
iDeCoは自分で作る退職金・年金だから他人に左右されない老後資金になります。



iDeCoは自分で作る・自分の為の年金制度
掛け金が全額所得控除


掛け金が全額所得控除され節税できる
「年収300万円」月23,000円をiDeCoに拠出する場合
- 年収300万円:所得税10%+住民税10%
- iDeCoに月23,000円(年間276,000円)を拠出
- 年間276,000円×20%=年間で55,200円の節税に!
(※20%=所得税10%+住民税10%)
住民税は収入に関係なく一律で10%ですが、所得税は所得金額によって税率が変わるので、所得税が高い人ほどiDeCoの節税効果が高くなります。
「年収600万円」月23,000円をiDeCoに拠出する場合
- 年収600万円:所得税20%+住民税10%
- iDeCoに月23,000円(年間276,000円)を拠出
- 年間276,000円×30%=年間で82,800円の節税に!
(※30%=所得税20%+住民税10%)
このように年収が高い人ほどiDeCoをすることで節税することができ、お得になります。



掛け金が全額所得控除され節税できる
同じ掛け金でも所得税率が高い年収の高い人ほど節税できるようになる
運用益が非課税


運用利益に対する税金が非課税
株式などの運用利益には本来20%の税金がかかりますが、iDeCoで運用することで非課税になります。
運用益非課税の例
- 株式100万円分を購入し
- 評価額が120万円になった場合
- 利益20万円に対して20%の税金が取られるので、税引き後は16万円になってしまう
- しかしiDeCoで運用することで、運用利益が非課税になり、利益20万円をそのままもらえる



本来であれば取られてしまう税金が非課税になるのはありがたいです
受取時に控除


iDeCo受取時に控除され、実際はほぼ非課税にできる
iDeCo受取時に控除され
- 年金:公的年金控除
- 一時金:退職所得控除
特に退職所得控除は控除金額が多くとてもお得であり、実際はほぼ非課税で受け取ることができます。
退職所得控除の計算式
(勤続年数=iDeCo加入期間)
- 20年以下の勤続年数
- 40万円×勤続年数
- 【例】iDeCoを20年加入していた場合:800万円控除され、800万円までは完全に非課税になる
- 20年超えの勤続年数
- 800万円+(70万円×勤続年数−20年)
- 【例】iDeCoを30年加入していた場合:1,500万円控除され、1,500万円までは完全に非課税になる
iDeCoを21年以上加入すると特にメリットが大きくなるので、早いうちからの加入するようにしましょう。



iDeCo受取時に控除され、掛け金によって実際はほぼ非課税にできる
低コスト投資信託が揃っている


iDeCoは低コスト投資信託が揃っている
金融機関によって投資信託銘柄が異なりますが、「楽天証券」「SBI証券」といった大手ネット証券1、2位を利用しておけばほぼ間違いないでしょう。
投資信託とは個別株のように自分で管理することなく、プロに運用してもらえるので管理がラクになります。
2021年の時点で6,000本ほどの投資信託がありますが、残念ながらそのほとんどが投資するに値しないモノ…。
「楽天証券」や「SBI証券」は優良な投資信託を扱っていて、例えばアメリカのS&P500指数に連動する投資信託を購入することができます。
S&P500に連動する投資信託を購入することで、アメリカ経済の成長と共に、投資信託の資産額を増やすことができます。
S&P500とは、アメリカのトップ企業500社の株価を集めた指数
このようにネット証券には低コストな優良銘柄が多数あります。
日本で購入できる投資信託は6,000本もありますが、銀行などで扱っている変な銘柄ではなく、iDeCo対象銘柄の中から探すと良い投資信託に出会えるでしょう。



iDeCo対象銘柄の中から探すと良い投資信託に出会えるでしょう
長期・積立・分散投資を継続しやすい


iDeCoは長期・積立・分散を継続しやすい
個人投資家の投資において大事なのは一攫千金を狙うのではなく、負けない投資をすること。
長期積立分散は投資をする上で非常に強力な投資方法であり、iDeCoはその基本を守っています。
- 短期投資ではなく長期投資
- 一括で大きく入れるのではなく、毎月一定額を入金
- 一箇所に集中投資ではなく、分散投資
- 資産クラス・地域・時間軸も分散して投資をする
- iDeCo+優良投資信託の組み合わせが最強
過去の実績から20年間の長期投資をする前提では負けない可能性が高いです。
そして資本主義社会そのものが亡くならない限り経済は発展してくので、株式投資によって経済成長と共に資産額を増やすことができます。
一度始めると60歳まで資金を取り崩すことができないのがiDeCoのデメリットです。
しかし、そもそも老後資金を貯める為にiDeCoを使うことで、半強制的に老後に備えられるのは良い選択でしょう。



個人投資家の投資において大事なのは一攫千金を狙うのではなく、負けない投資をすること
iDeCoのデメリット
手数料がかかる


iDeCoには手数料がかかる
①加入時・移換時手数料
②口座管理手数料
③給付事務手数料
④還付事務手数料
⑤投資信託で信託報酬
- 加入時手数料
- 加入時一回きり:2,829円
- 移管時手数料
- 移管時手数料(他の口座に引っ越す場合):4,400円
- 口座管理手数料
(※口座管理手数料はiDeCo利用中60歳になるまで毎月かかる)- 国民年金基金連合会:月105円
- 証券会社手数料:ゼロ円
(楽天証券・SBI証券など僕がオススメしている証券会社であればゼロ円) - 信託銀行:月66円
- 給付事務手数料
- 信託銀行:440円/1回(受け取る時限定)
- 還付事務手数料
(※還付というのは掛金が法令の限度額を超えて拠出されたときや、国民年金の保険料を納付していない月として拠出された時など、「加入資格のない人が拠出した時の還付事務手数料」)- 国民年金基金連合会:1,048円/1回
- 信託銀行:440円/1回
- 投資信託で信託手数料
- 投資信託によって信託手数料は異なる
- 優良な投資信託なら0.1〜0.2%以下に抑えることも可能
- 運用管理をしてもらっているので一定の費用がかかる



主な手数料は「口座管理手数料」で、30年間運用したら約60,000円かかります
((月105円+月66円)×12ヶ月×30年)
しかし「掛金が全額所得控除」で説明したとおり、1年で50,000円以上も節税できるので、手数料は気になりません
運用リスクがある


株式投資は価格は変動し、運用リスクがある
定期預金でも運用をできますがそれでは資産が増やしにくいので、株式投資による運用が良いと僕は考えています。
株式投資である以上運用にはリスクがあり、資産が減るリスクもあれば増えるもリスクもあります。
これを理解した上でやらないと必ず来る経済サイクルの波で暴落時に後悔することになるでしょう。
水が上から下に流れることのが当然のように、経済にも好景気があれば不景気もあります。
10年周期でなにかあると覚悟していなくてはいけません。
iDeCoでの長期投資において暴落に直面することはは確実で回避不能なので、予め認識しておきましょう。
しかし20年以上という長期投資であれば元本割れする可能性は極めて低く、iDeCoは20〜30年と運用することになるので、運用リスクは限りなく抑えることができるでしょう。



株式投資には価格変動リスクがある
しかし、20年以上という長期投資であれば元本割れする可能性は低い
資金拘束が強い


iDeCoは60歳まで資金を移動できない
iDeCoでは原則60歳になるまで一度入れたお金を引き出すことは出来ません。
これがiDeCoのデメリットであり、これを嫌って利用しない人がいるくらいです。
年齢や立場によって様々な生活の変化がありますよね。
- 独身のときはお金を余らせれてたけど、結婚してから出費が多く難しくなった。
- 家を買う気はなかったが価値観が変化し、住宅購入の頭金を入れるためのお金が必要になった。
など、どんなタイミングでお金が必要になるかわかりません。その時に貯金や資金拘束のない特定口座での運用していればそれを切り崩すことも可能です。
しかし、iDeCoは60歳まで引き出すことができないので、30歳からiDeCoを始めたとしたら、そのお金を使えるようになるのは60歳になった30年後です。
将来のことが誰にも分からない中で、資金を60歳の老後まで資金拘束されることに困る人もいるでしょう。
ライフサイクルや生活、価値観の変化に対応しにくい制度であることは事実ですよね。
貯金や余剰資金が少なく、ギリギリの家計状況だけどiDeCoをしています!という人はiDeCoの利用は避けたほうが良いかも知れません。



「iDeCo」は60歳まで引き出せない資金拘束がある
資金拘束が嫌な場合は「積立NISA」のほうが適しています
特別法人税復活の可能性


今は適用されていない昔の制度「特別法人税」
1999年に凍結されたまま、現在も凍結されている
今は適用されていない昔の制度で「特別法人税」というのがあり、この制度の復活を恐れてiDeCoをやりたくない人もいます。
「特別法人税」とは、資産に対して毎年1.17%の税金がかかるもの。
定期預金でiDeCoを運用していたらマイナスになってしましますし、株式で運用してたとしても毎年資産に対し1.17%はきついですよね。
幸いこの「特別法人税」は「1999年に凍結」されましたし、2020年1月現在においても凍結されたままです。
一部の人が恐れる特別法人税の復活ですが、僕はこの特別法人税の復活はしない可能性が高いと思っています。
「iDeCo」や「積立NISA」はそもそも、国民に老後資金を作って欲しいという国の意図があって始めた制度。
そして一度始めたら60歳まで資金拘束され逃げ場のないiDeCoに、この制度を復活させて税金を課すのは制度の趣旨と逆行しています。
内容があまりにもひどすぎるので、「特別法人税」が復活する可能性は低いでしょう。
特別法人税の復活にリスクヘッジするならiDeCoを定期預金で運用するのではなく、投資信託を用いた株式での運用がオススメ。
利率
- 定期預金 :0.01%
- S&P500 :5%
- 全世界株式:3〜5%
仮に特別法人税が復活して、資産額に1.17%課税されるならなおさら、定期預金で運用することは避けたほうが良いでしょう。
日本の定期預金は0.1%・0.001% そこに1.17%の課税がされていると何をやっているのか分からなくなります。
価格変動リスクが嫌な人はiDeCoを定期預金で運用している人もいるので、その人達に配慮して「特別法人税」の復活の可能性は限りなく低いでしょう。



特別法人税は恐ろしい制度ですが、今後復活する可能性は低いでしょう
まとめ:iDeCoは老後資金対策と割り切れば良い制度
本記事の内容
iDeCoは老後資金の備えとしては素晴らしい制度
人生の3大支出の一角である老後資金リスクは、将来確実に起こりうる未来で、このリスクに備えるのは横断歩道を渡るときに右左確認するのと同じくらいアタリマエのこと。
イデコは老後資金の準備を前提とすれば協力な僕たちの味方になってくれます。
老後資金準備のお金はそもそも老後まで使わないお金なので、60歳まで資金拘束されるiDeCoのデメリットも非常に薄くなりますよね。



iDeCoは60歳まで自由にお金を引き出すことができないというデメリットがある
しかし、iDeCoの利用目的を老後資金の備えとするなら、iDeCoのデメリットは薄くなる
投資は世界経済の成長共に時間をかけて少しずつ資産拡大していくものなので、早めに始めましょう!
少しでも参考になったら嬉しいです